マーケティングのWHO・WHAT・HOWとは?戦略の作り方を具体例で解説

マーケティング戦略を考えるとき、「広告を出す」「SEOを始める」「SNSを運用する」といった施策から考えてしまうことは少なくありません。しかし、施策はあくまでHOW(どう届けるか)です。

その前に、WHO(誰に)とWHAT(何を)が決まっていなければ、どれだけ施策を増やしてもメッセージや予算配分がばらつきやすくなります。

WHO・WHAT・HOWは、「誰に、どんな価値を、どのように届けるか」を順番に整理するマーケティング戦略の基本フレームワークです。シンプルですが、事業戦略からWeb広告、SEO、商品企画まで幅広く応用できます。

この記事の結論

  • WHO:誰を顧客として狙うのか
  • WHAT:その顧客にどんな価値・便益を提供するのか
  • HOW:その価値を商品・価格・販路・広告などでどう届けるのか
  • 基本はWHO → WHAT → HOWの順で設計する
  • 重要なのは「30代女性」「高品質な商品」「SNS広告」のような表面的な言葉で終わらせず、3要素を一貫してつなぐこと

マーケティングのWHO・WHAT・HOWとは?

WHO・WHAT・HOWは、マーケティング戦略を次の3つの問いに分解して考えるフレームワークです。

要素 意味 考える問い 例
WHO 誰に 最も価値を感じる顧客は誰か? マーケ担当者がいない中小企業の経営者
WHAT 何を その顧客にどんな価値を約束するか? 限られた予算でも集客の優先順位が明確になる
HOW どのように 価値をどんな方法で届けるか? SEO・広告・アクセス解析を組み合わせる

マーケターの森岡毅氏は、ダイヤモンド・オンラインの対談で、ターゲティングの「Who」、顧客が得るベネフィットの「What」、マーケティング戦略の「How」を順番に考えることを紹介しています。

参考:ダイヤモンド・オンライン「森岡毅×佐渡島庸平」

ポイントは、3項目を別々に埋めることではありません。WHOにとって魅力的なWHATを定め、そのWHATが最も伝わるHOWを選ぶことで、戦略に一貫性が生まれます。

なぜWHO → WHAT → HOWの順番が重要なのか

マーケティングで最も起こりやすい失敗のひとつが、HOWから考え始めることです。

たとえば、次のような会話はすべてHOWから始まっています。

  • Instagramを始めよう
  • リスティング広告を出そう
  • SEO記事を月10本作ろう
  • YouTubeをやろう
  • ホームページをリニューアルしよう

これらは施策として間違いではありません。しかし、「誰に」「何を伝えるか」が曖昧なままでは、媒体やクリエイティブを改善しても成果の上限が低くなります。

重要:マーケティングでは「何をやるか」より前に、「誰の、どんな課題に対して、どんな価値を届けるか」を決める必要があります。施策選定はその後です。

WHOとは|「誰に売るか」を決める

WHOは、自社の商品・サービスを届けるターゲット顧客です。ただし、単に年齢・性別・居住地などの属性を設定すればよいわけではありません。

WHOは「属性」だけでなく「状況・課題・行動」で考える

たとえば、Webマーケティング支援会社のWHOを考える場合、次の2つを比べてみてください。

弱いWHO 具体的なWHO
30〜50代の経営者 社内に専任マーケターがおらず、広告・SEOを実施しているものの、何に予算を寄せるべきか判断できていない中小企業経営者

後者の方が、顧客が置かれている状況と課題が明確です。WHATやHOWも具体化しやすくなります。

WHOを決める5つの観点

  • 属性:業種、企業規模、年齢、役職、地域など
  • 状況:今どんな環境にいるか
  • 課題:何に困っているか
  • 行動:普段どのように情報収集・比較・購入しているか
  • 優先度:その課題をどの程度急いで解決したいか

WHOを広くしすぎるとメッセージがぼやけます。一方で、狭くしすぎると市場規模が不足します。最初は「自社が最も価値を提供しやすく、かつ十分な需要がある層」を仮説として設定し、実際の商談・広告・アクセスデータで修正していくのが現実的です。

WHATとは|「顧客にどんな価値を提供するか」を決める

WHATは、単純な商品名や機能ではなく、顧客が商品・サービスを通じて得られる価値やベネフィットです。

たとえば、ドリルを販売する場合、WHATを「高性能なドリル」と考えるだけでは不十分です。顧客が本当に欲しいのは、ドリルそのものではなく「必要な場所に正確な穴を開けられること」かもしれません。

ダイヤモンド・オンラインでも、WHO・WHAT・HOWを解説する中で、WHATは具体的な商品ではなく「顧客にとっての価値」と整理されています。

参考:ダイヤモンド・オンライン「カインズの『立つほうき』がiPhoneと同じ画期的イノベーションな訳」

WHATを作るときの考え方

次の3段階で考えると整理しやすくなります。

  1. 機能:商品・サービスが何をするか
  2. 便益:その機能によって顧客が何を得られるか
  3. 変化:利用後に顧客の状態がどう変わるか

たとえば広告運用代行なら、機能は「Google広告を代わりに運用すること」です。しかし顧客が求めているWHATは、「広告費の無駄を減らし、社内工数を増やさずに問い合わせを安定して獲得できること」かもしれません。

WHATの作り方

「当社は○○を提供します」ではなく、「WHOが、○○な状態から△△な状態になれる」と表現すると、顧客価値を言語化しやすくなります。

HOWとは|「価値をどう届けるか」を決める

HOWは、WHOにWHATを届けるための具体的な方法です。

広告・SEO・SNSだけでなく、商品設計、価格、販売チャネル、営業、店舗体験、接客などもHOWに含まれます。

HOWは4Pで整理すると具体化しやすい

HOWを実務へ落とし込むときは、マーケティングの4Pで整理すると抜け漏れを減らせます。

4P 検討内容 Webマーケティングの例
Product 商品・サービス プラン内容、保証、導入支援、レポート
Price 価格 月額、成果報酬、初期費用、契約期間
Place 販売・提供チャネル Webサイト、オンライン商談、代理店
Promotion 認知・集客・訴求 SEO、リスティング広告、SNS広告、ホワイトペーパー

「HOW=広告チャネル」と狭く考えないことがポイントです。WHATを届けるために、サービス内容そのものや価格設計を変える必要があることもあります。

WHO・WHAT・HOWの具体例

例1:Webマーケティング支援会社

  • WHO:専任マーケターが不在で、広告やSEOを個別に実施している中小企業経営者
  • WHAT:集客施策の優先順位が明確になり、予算を成果につながる施策へ集中できる
  • HOW:広告運用・SEO・アクセス解析を横断して支援し、月次でKPIと予算配分を見直す

例2:整体院

  • WHO:デスクワークによる肩・首のつらさが続き、マッサージへ通っても改善を実感できていない会社員
  • WHAT:その場しのぎではなく、日常生活で痛みが出にくい身体を目指せる
  • HOW:Google検索広告、症状別LP、初回カウンセリング、LINEでの来店後フォロー

例3:BtoB SaaS

  • WHO:Excelで複数拠点の案件管理をしており、集計作業と入力漏れに悩む営業責任者
  • WHAT:案件状況をリアルタイムで把握でき、週次集計の手間を減らせる
  • HOW:比較記事SEO、導入事例、資料ダウンロード、オンラインデモ、インサイドセールス

3つの例に共通するのは、HOWが先ではないことです。WHOとWHATが変われば、最適な広告媒体・コンテンツ・価格・営業方法も変わります。

WHO・WHAT・HOWを作る6ステップ

1. 目的を明確にする

最初に、何を達成するための戦略なのかを決めます。売上増加、新規顧客獲得、リピート率改善、新商品の立ち上げなど、目的によって狙うWHOは変わります。

2. 既存顧客・市場を分析する

顧客データ、商談履歴、アクセス解析、広告データ、検索キーワード、アンケートなどから「誰が実際に買っているか」「誰が高く評価しているか」を確認します。

3. WHOを仮説設定する

属性だけではなく、「どんな状況で」「何に困っていて」「どんな行動をしている人か」まで具体化します。

4. WHATを1文で定義する

WHOが得られる価値を1文で表します。機能の羅列ではなく、顧客の変化を中心に書きます。

5. HOWを設計する

Product・Price・Place・Promotionの観点から、WHATを最も伝えやすい方法を選びます。Web施策なら、SEO・広告・SNS・LP・メール・LINEなどを役割ごとに配置します。

6. KPIを設定して検証する

WHO・WHAT・HOWは一度決めたら固定するものではありません。実行後の数値を見て、どこにズレがあるか検証します。

  1. WHOは本当に反応しているか
  2. WHATはクリック・問い合わせ・商談につながっているか
  3. HOWは費用対効果が合っているか

施策の費用対効果まで判断する場合は、マーケティングROIの考え方も合わせて確認すると、予算配分を整理しやすくなります。

WHO・WHAT・HOWとSTP・4Pの関係

WHO・WHAT・HOWは、STPや4Pと競合するフレームワークではありません。役割が異なります。

フレームワーク 主な役割 WHO・WHAT・HOWとの関係
STP 市場を分け、狙う市場と立ち位置を決める WHOを精緻化する際に使いやすい
価値提案 顧客が得る価値を定義する WHATの具体化に使いやすい
4P 商品・価格・流通・販促へ落とし込む HOWの具体化に使いやすい

つまり、WHO・WHAT・HOWを大枠として置き、その中でSTP・価値提案・4Pを使って解像度を上げると整理しやすくなります。

WHO・WHAT・HOWとWHY・WHAT・HOWの違い

似た言葉として「WHY・WHAT・HOW」がありますが、目的が異なります。

  • WHO・WHAT・HOW:顧客起点でマーケティング戦略を設計するときに使う
  • WHY・WHAT・HOW:企業やブランドの存在意義・思想・行動を整理するときに使うことが多い

たとえば、「なぜこの事業をするのか」を考えたいならWHYが重要です。一方、「誰に売り、何を価値として、どのように届けるか」を設計したいならWHO・WHAT・HOWが使いやすいでしょう。

WHO・WHAT・HOWでよくある5つの失敗

1. WHOが広すぎる

「20〜60代」「すべての中小企業」のように広げすぎると、WHATが一般論になり、誰にも強く刺さらない訴求になりやすくなります。

2. WHOを年齢・性別だけで決める

同じ40代男性でも、抱えている課題や購入理由はまったく異なります。属性に加え、状況・課題・行動まで定義しましょう。

3. WHATが商品説明になっている

「高性能」「高品質」「丁寧なサポート」だけでは、顧客にとって何が良いのかが伝わりません。利用後の変化まで言語化します。

4. HOWが目的化している

「Instagramを伸ばす」「SEO順位を上げる」が最終目的になると、売上や問い合わせとのつながりが弱くなります。HOWはWHATを届ける手段です。

5. 3つに一貫性がない

高価格帯の専門サービスを売りたいのに、HOWでは値引き訴求ばかり行うなど、WHO・WHAT・HOWが矛盾するとブランドも成果も安定しません。

そのまま使えるWHO・WHAT・HOWテンプレート

WHO
私たちが最も価値を提供したい顧客は、
「________________」という状況にあり、
「________________」という課題を抱えている人・企業。

WHAT
その顧客に、
「________________」という価値を提供し、
「________________」という状態へ変える。

HOW
その価値を、
「商品・価格:________」
「販売チャネル:________」
「集客・訴求:________」
によって届ける。

このテンプレートを埋めたあと、「WHOが変わっても同じWHAT・HOWで成立してしまう」のであれば、まだ具体性が足りない可能性があります。

WebマーケティングでWHO・WHAT・HOWを使う方法

Webマーケティングでは、WHO・WHAT・HOWをチャネル設計まで落とし込むことが重要です。

SEOの場合

  • WHO:どんな課題を持つ検索ユーザーか
  • WHAT:検索後にどんな答え・判断材料を提供するか
  • HOW:どのキーワード・記事構成・内部リンク・CTAで届けるか

リスティング広告の場合

  • WHO:どんな検索語句・ニーズを持つ人を狙うか
  • WHAT:広告文とLPで何を約束するか
  • HOW:キーワード、広告文、LP、入札、除外、計測をどう設計するか

Meta広告の場合

  • WHO:誰のフィード上で反応を取りたいか
  • WHAT:どんな課題・欲求を切り口に価値を見せるか
  • HOW:クリエイティブ、オーディエンス、LP、CV設計をどう組み合わせるか

広告運用やSEOを外部へ任せる場合も、単に「作業を代行してもらう」のではなく、WHO・WHATから一緒に設計できるかどうかで支援範囲は大きく変わります。外注の考え方は、マーケティング業務委託の費用相場・依頼範囲でも詳しく解説しています。

WHO・WHAT・HOWは数字で検証する

WHO・WHAT・HOWは、会議で美しい言葉を作るためのフレームワークではありません。実行後に数字で検証して初めて意味があります。

検証対象 見る指標の例
WHO 顧客属性、検索語句、商談化率、成約率、LTV
WHAT CTR、CVR、訴求別反応率、営業ヒアリング、失注理由
HOW CPA、ROAS、ROI、チャネル別CV、商談単価

たとえば広告CPAが悪化したときも、単純に入札やターゲティングだけを調整するのではなく、「そもそもWHOがズレていないか」「WHATが弱くなっていないか」まで戻って確認すると、根本原因を見つけやすくなります。

Webマーケティング戦略をWHO・WHAT・HOWから整理したい方へ

AISyncでは、広告・SEO・アクセス解析などの施策だけを先に提案するのではなく、「誰に、どんな価値を、どの経路で届けるか」からマーケティング全体を整理します。施策が増えているのに成果につながらない、予算配分を見直したい、といった段階からご相談いただけます。

AISyncにマーケティング戦略を相談する

マーケティングのWHO・WHAT・HOWに関するよくある質問

WHO・WHAT・HOWは誰が提唱したフレームワークですか?

「誰に・何を・どのように」という考え方自体はマーケティングやコミュニケーション戦略で広く使われています。日本では、森岡毅氏が著書や対談などでWho・What・Howを用いた戦略思考を紹介していることで知られています。特定の人物だけが唯一の起源と断定するより、顧客・価値・届け方を整理する実務フレームとして捉えるのが適切です。

WHOとペルソナは同じですか?

完全に同じではありません。WHOは狙う顧客層を示す概念で、ペルソナはその顧客像を具体的な人物像まで掘り下げる方法のひとつです。WHOを設定したあと、必要に応じてペルソナを作るとよいでしょう。

WHATは商品・サービスそのものではないのですか?

商品・サービスそのものよりも、顧客がそこから得る価値やベネフィットとして捉える方が戦略を作りやすくなります。同じ商品でも、WHOが変われば魅力に感じるWHATが変わることがあります。

HOWは広告やSNSだけですか?

いいえ。広告・SEO・SNSなどの集客チャネルだけでなく、商品設計、価格、販売方法、営業、接客など、顧客へ価値を届ける方法全体がHOWです。

WHO・WHAT・HOWはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

固定の正解はありません。新商品投入、競合変化、広告CPAの悪化、成約率低下、顧客層の変化などがあったタイミングで見直すのが有効です。少なくとも施策だけを変更する前に、WHO・WHATの前提が崩れていないか確認しましょう。

まとめ|マーケティングはHOWではなくWHOから考える

WHO・WHAT・HOWは、マーケティング戦略を「誰に」「何を」「どのように届けるか」で整理するシンプルなフレームワークです。

  • WHO:最も価値を届けたい顧客を、課題・状況・行動まで含めて定義する
  • WHAT:商品機能ではなく、顧客が得られる価値・変化を言語化する
  • HOW:商品・価格・販路・広告などを組み合わせて価値を届ける

重要なのは、広告・SEO・SNSといったHOWから始めないことです。WHO → WHAT → HOWの順に一貫して設計し、実行後はデータで検証することで、マーケティング施策の優先順位が明確になります。

参考情報